フェリペ2世 (スペイン王)

彼の人生は、王権を守るための執念と孤独の物語であった。

壮麗なエル・エスコリアル宮殿にこもり、戦争と宗教に身を捧げた王。彼は果たして「帝国の守護者」だったのか、それともスペイン衰退の引き金を引いたのか──。

基本情報

(称号は主たるもののみ記載、スペイン王などの王号 から、ミラノ公、ブルゴーニュ公、ブラバント公 などの公爵位、さらには フランドル伯、ホラント伯、シャロレー伯などの 伯爵位 に至るまで、多岐にわたるものがあった)

人物の背景

フェリペ2世は、カール5世（カルロス1世）とイザベル・デ・ポルトガルの息子として誕生した。

父が神聖ローマ皇帝としてヨーロッパの広大な領土を支配していたため、彼は幼少期からスペイン宮廷で厳格な教育を受けた。

(家系図)

• スペイン語とラテン語を習得（ドイツ語・フランス語は不得意）
• カトリック信仰を徹底的に叩き込まれる
• 政治学、法律、軍事戦略を学び、王としての資質を鍛える

治世の特徴

• レパントの海戦（1571年）
  フェリペ2世はカトリック連合を率い、オスマン帝国の海軍を撃破。地中海の制海権を確保し、カトリック勢力の優位を確立

• ポルトガル併合（1580年）
  ポルトガル王家の断絶を受け、スペイン・ハプスブルク家が王位を継承。ポルトガル植民地も支配し、史上最大級の帝国を形成

• 無敵艦隊の敗北（1588年）
  イングランド女王エリザベス1世を打倒するためアルマダ（無敵艦隊）を派遣。イギリス海軍の戦術と嵐による損害で壊滅し、スペインの海上覇権が衰退

• ネーデルラント独立戦争（八十年戦争）
  ネーデルラント（現オランダ・ベルギー）でプロテスタントの反乱が発生。長期戦となり、スペインの財政を圧迫